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特に遺言が必要なケース

認知症になってから作成された遺言は無効です。ところが困ることに、認知症はいつ始まったのか本人にはわからないのです。自分は絶対に認知症にはならないという確信などだれにも持てないわけですから、大体、65歳を過ぎた方は、早めに老後の対策として、一応の遺言はしておくべきではないでしょうか。はじめから完全なものでなくてもいいので、ともかく一度は作ってみることです。その後いろいろ考え直したり、研究したり、指導を受けたりしながら、内容のしっかりしたものに書き直してゆけばいいと思います。そのためには、お正月に遺言を書き直すという方もいらっしゃいますが、これはとても懸命な習慣ではないでしょうか。躊躇せず、ともかく何でもいいから書いてみてください。書いてみた後は気分がすっきりして、よーし、これからさらに元気出して頑張るぞ!という気分になるものです。案ずるより産むが易し。さあ、やってみましょう。やってもらいましょう!

どんな状況の相続でも、遺言書があれば自分の意思で相続してもらえるのですが、特に次のような事情の場合は遺言書がないと思うように相続してもらえなかったり、まったく自分の意思が実行されない事態になってしまいますので要注意です。

1、【戸籍上に子の記載がない人】 相続というのは戸籍に記載されている子、親、兄弟姉妹に資産が承継されるものです。遺言者本人の出生から死亡までの戸籍に、本人の子としての名前が一人もなければ、相続人となるのは、本人の配偶者と、本人の親ということになります。その親も他界してしまっていれば、次に相続人の資格を持つのは、配偶者と本人の兄弟姉妹ということになります。この兄弟姉妹が他界してしまっていれば、その子、つまり甥姪が相続人となります。

遺言者が資産を配偶者にだけ残したい場合は、遺言書でその旨を明記しておかなければ兄弟姉妹にも相続権があるので、遺言者の望むような配偶者のみへの相続ができなくなるのです。遺言書がなければ遺産分割協議となり、協議がまとまらなければ、法定相続割合で、兄弟姉妹が4分の1を取得できます。兄弟姉妹とは殆ど交流もなく、まして甥姪などがどうなっているのかなどさっぱり知らないという方が結構いらっしゃいます。そんな親戚に自分の資産など承継させたくないなら、必ず遺言書で、「全財産は配偶者に相続させる」と書いておいてください

2、【婚外子を認知しておく】 人生は色々です。愛情の世界では単なる倫理上の観点からだけで善悪は決められません。人生には人に言えない悩みや苦しみがあるものです。そんな人生の中で、夫婦の間以外に自分の子が生まれることもあると思います。そうしてこの世に生まれてきた子には何の罪もありません。その子もほかの子と同じように人として立派に成長してほしいと願うのが親の愛情です。その子を婚外子として戸籍に入れることができず、そうした未練を抱えたままあの世に旅立つならば、ホントに悔やんでも悔やみきれないことでしょう。そういう事情のある場合は、遺言書で「****(住所)の****(母の名前)の子***は自分の子であることを認知すると書いておけば、自分の死後、戸籍にその子が自分の子として記載され、その子は自分の出生時から相続人となることができます。ためらわず実行してください。但し、この認知する遺言を実行してもらうためには、遺言執行者が必要です。遺言執行者が決められてなければ市役所や町役場で誰も認知手続きをしてくれる相続人はいないからです。

3、【前婚者の連れ子を自分の養子にしていない】 前婚では相手に連れ子がいて、みんな家族として暮らしてきたのですが、前婚者が何かの理由で他界してしまい、連れ子が残されたまま、引き続き家族として暮らしてきていている場合、自分とその子は戸籍上の親子ではないので、その子には自分の資産の相続権はありません。仲の良い家族によくある例です。血のつながってない子は生前に養子にしておくべきですが、遺言でその子にも自分の資産を「遺贈する」と書いておいても承継できます。ぜひ、お忘れなく!

4、【居所不明の相続人がいる】 遺言によらない相続では、法定相続人全員の合意を書面にした、遺産分割協議書の作成が必要です。この時、協議書に署名押印すべき相続人が一人でも欠けると協議書になりません。署名押印しない相続人は、不在者とされ、家庭裁判所の権限で公告を出し、何か月もかけて探さなければなりません。最近は、気ままにどこかに行ったまま、所在が分からず、協議書を郵送することもできない人が結構いるようです。たまに電話が来るので生きているらしいのですが、居所がつかめない。失踪して7年以上経っていれば、死亡したとみなしてもらう方法もあるのですが、困ったものです。こういう相続人がいたら、迷わず遺言書での相続にしておきましょう。不在者には何も相続しない内容にしておけばいいのです。

5、【重病人や障害者、困り者がいる】 遺産分割協議書に署名できないような病人や、体の不自由な相続人がいる場合は、家庭裁判所から後見人を決めてもらい、本人に代わって協議書に署名押印してもらうことができます。障害者の場合も同様です。しかし、あらかじめ遺言書で資産の承継者を決めておけば、死後に協議書を作る必要はありません。相続人が浪費家や遊び人など家族の困り者だけど、生活費くらいの資産は残してあげたいという場合は、まともな相続人に困り者の分の資産を管理させるようにすることもできます。その場合は遺言執行監督人を立てて監督してもらいます。障害者は相続財産を承継すると、障害者手当てがなくなりますから、現金になりにくい不動産などは相続しない方がいいです。そこまで考えると、遺言でしっかり金融資産を障害者に相続させるようにしておき、遺言執行人を立てて、他の相続人の妨害が来ないようにしておきます。

6、【孫、子の配偶者、献身的に介護してくれた人、内縁者、友人に贈与したい】【団体や施設などに寄付したい

  こうした、相続人ではない親族に資産を贈りたい場合は、遺言書で「***の資産を孫(長男の妻)の***に」とか、親族以外の人の場合は「***の資産を***(住所)***(氏名)***(生年月日)に遺贈する」「***(住所)***会に遺贈する」と書き、必ずその遺言を実行するための執行者を指定しておきます。子の配偶者を生前に自分の養子にしておく方法もあります。孫に遺贈した場合、孫の親が浪費してしまう恐れなどがあれば、家庭裁判所に事前相談して、審判により、その親には遺産を管理させないようにすることもできます。

7、【生前贈与分も相続財産である】 相続財産というのは死亡時に所有していた資産だけではありません。子の住宅新築資金や事業資金、大学院などの特別教育費なども含まれますから、そういうものも含めて、バランスよく相続人に資産が承継されるような遺言を考えてください。もちろん借金も全相続人が相続しなくてはなりませんからお忘れなく。⇒相続放棄は死後3か月以内に家裁に申述書を提出しないと認められませんからご注意ください。

8、【自分の決めた方式の葬儀や供養など、死後の後始末をやってもらう】 報酬額を決め、遺言執行者に死後の後始末をしてもらう遺言をすることができます。執行者には火葬埋葬の許可申請が認められます。特に資産もなく預貯金の全部を友人に遺贈し、その友人に死後の後始末を一任した人もいます。資産家の場合は、公正証書で契約し、財産の後始末を委任することがいいでしょう。委任する相手の条件には特に決まりはありません。

9、【後見人を指定しておく】 配偶者が認知症の場合や、子が障害者であったり、未成年者の場合は、自分の死後、その人々の行く末が心配であれば、遺言で後見人を指名しておきましょう。このための手続きは遺言執行者が行えます。

10、【財産は自宅だけ】 相続人が複数の場合、財産が自宅の家と土地だけなら、どのように相続させますか?家と土地を別人が相続すれば、後日、借地権でもめることが多いものです。かといって一人が家と土地を相続すれば、他の相続人と不公平になり、争いになることが多いようです。この対策としては、自分の死後は家と土地を売却して金銭で相続してもらうか、不動産を相続しない相続人のために、相続した人が代償金を支払うか、遺言者が預貯金を蓄えるか生命保険金を用意しておくか、何らかの対策を考え、遺言執行者を指名した遺言にしておかなければ死後争族になりやすいですよ。となると老人は遊んで浪費ばかりしていたんじゃ、相続人が泣くはめになってしまうことに・・・資産が少なければ長寿もつらいものですよ。

11、【配偶者に居住してもらったまま子供に家を相続させたい】 平成30年に改正された相続法では、結婚して20年以上の夫婦であれば、「配偶者の居住権」が認められ、遺言書で「遺言者の家は配偶者に遺贈する」と書いておけば、たとえ遺言を無視した分割協議がされても、その家は遺産分割から外され、配偶者は終生安心して自宅に住むことができます。

12、【子供同士は家族交流が乏しい】 子供たちは親に対してはいい子であっても、その親がいなくなって兄弟姉妹だけにされると、けんかを始めやすいもんです。ですから、兄弟同士が普段から互いの交流が少なくて、皆それぞれの家庭がが好きなように勝手に暮らしていて、互いにあまり仲良くもない状態では、相続問題でもめる可能性が大きいと言えます。兄弟姉妹本人同士はあまり自己主張しなくても、彼らの配偶者は権利の主張を遠慮なくするものです。それは法律で認められている正当な相続権なのですから、反対する理由はありません。しかし、遺産分割協議はどのように遺産を分けるのかは自由に決めてよいことになっているので、お互い一分を引っ込めて、妥協しあうのが賢い選択ではないでしょうか。しかし、これも普段からの家族付合いがものをいうことなので、親は分割協議にならないよう、遺言で相続方法を決めておくべきです。この場合遺言執行者はぜひ指名しておくべきです

13、【相続人の中に生活困窮者がいる】これも問題です。資産家の相続の場合なら、生活困窮の相続人は相続税を払えないでしょう。資産家でなくとも、こういう相続人はできるだけ遺産が欲しいから、結局争族になりやすいものです。遺言で配慮してあげるとしても、生命保険金を年金式に受け取れるようにしておくとか、生前から対策を考えて、生計を助ける方法を考えてあげたいものです。

14、【資産は株式が多く、預貯金が少ない】【貸駐車場や貸家がある】 こういう場合は、相続税の申告に時間がかかり、納税資金も必要です。資産を売却しようとしてもすぐには売れず、売却には全相続人の協議書が必要です。あらかじめ、相続税を試算してもらい、資金の対策をしておき、分割協議にしなくても済むように、執行人付きの遺言をしておきましょう。

15、【事業の後継者を指名しておく】 商店、農漁業、会社、何でも事業をしている場合は、後継者を遺言で指名しておき、その後継者が安心して事業継続ができるよう、事業承継円滑化法などを利用して、税理士などの専門家としっかり対策をしておくことが大事です。

16、【農地の相続】 農地は承継者が単独で相続するのが望ましく、複数の相続人が相即すると土地の評価額が高くなり、相続税はそれだけ高額になってしまいますから、なるべく遺言で単独相続させるようにしましょう。

17、【自分を侮辱し虐待する相続人がいる】相当にひどい侮辱や、暴行、虐待が繰り返しされた場合、その相続人を廃除すると遺言し、相続権を剥奪することができます。この場合、具体的な事情を遺言書に書くのは大変ですから、公正証書で宣誓認証という書面を作ってもらえば、客観的供述書として家庭裁判所での審判が容易になります。この場合の遺言執行者は法律の専門家に依頼すべきでしょう。ちなみに、排除と廃除は意味が違いますからご注意を。

18、【臓器提供者】遺言は必ず必要です。

19、【尊厳死宣言書】遺言とは違って、生前中に医療機関に提示するものですが、本人の意思能力が確かな時に、証人もそろえて、実印を押印して作成しておきましょう。

☆ 静岡県遺言書協会では、しっかりとした遺言書を作っておきたい方のために

自筆遺言書本文案の添削指導模範案文の作成提示 目録の作成 遺言書保管

②本人に変わって遺言の本文、目録を代書作成 公証役場手続き同行、証人引き受け  遺言書保管

公正証書遺言作成の書類準備、公証役場との打ち合わせ、証人引き受け

④病床などでの死亡危急時遺言の作成 家裁確認申請 遺言書保管 (静岡県内)

⑤これらすべての遺言の執行者引き受け

をさせていただいております。ご質問やご要望がございましたらお気軽にお電話なりをいただきますよう。

                    以上

 

 

 

 

 

 

 

 

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